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平成19年度町長施政方針演述

公開日 2007年03月01日

平成19年度施政方針(平成19年度葛巻町長施政方針演述抜粋〈葛巻町議会3月定例会〉)

 本日、ここに第28回町議会定例会が開催されるに当たり、今後の町政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
 昨年9月「美しい、日本」の実現を目指し発足した安倍内閣がその成長の基盤として、活力に満ちた経済が不可欠な条件であるとし、地方の活力なくして国の活力なしとも唱えております。平成14年から緩やかに回復が始まり、拡大期間は戦後最長といわれる国内経済ですが、町内では実感できるまでに至らない厳しい状況にあり、過疎化、少子高齢化の進行など都市と農山村の地域間格差は急速に拡大しています。
 町は、昨年10月の記録的な大雨により被害額約40億円という大災害を受け、国県の支援を受けながらその早期復旧に最善を尽くしております。
 河川や道路の復旧はもちろん、今回の災害を貴重な教訓とし、生活の基盤となる安全・安心の確保に向け、迅速かつ正確な防災情報の提供システムや各自治会への自主防災組織を構築、町民の防災意識の高揚など地域における防災力の一層の充実強化を図り災害に強い町を構築して参ります。
 昨年は災害の年ではありましたが、町民の弛まぬ努力により、様々な分野で多くの町民が活躍するとともに、エネルギーをはじめ、農林業の基幹産業が光を放ち、5年目を迎えた俳句コンテストの定着など文化面での資質が開花し町の評価も高まり、町全体の付加価値が高まった年でありました。
 人口減少社会の到来、グローバル化の進展、新たな地方分権改革など、時代は、今後さらに大きく変化しようとしており、環境変化に的確に対応する行政運営が求められております。このような中で、私は自立に向けて持続可能なまちづくりを目指し、徹底した行財政改革を進め、町民の皆様との情報を共有し、一層の信頼関係の構築と協働のまちづくりの推進に努め、山積する様々な諸課題解決に向けて、全力を尽くして参る所存であります。
 これより「まちづくりの重点施策」、「行政改革」及び「予算編成」の3点の概要について申し上げます。


【まちづくりの重点施策】

 最初に、平成19年度における「まちづくりの重点施策」について申し上げます。
 19年度は、14年度に策定した巻町総合計画前期基本計画の最終年度となりますが、前期基本計画では、総合計画で掲げた「地域資源を宝に変えて幸せを実感できる高原文化の町」の将来像の実現に向けて、酪農の基盤整備や快適な生活環境の構築に向けた道路、水道施設及び学校給食センター整備などの事業を積極的に推進して参りました。
 後期基本計画では、さらに、情報格差是正など直面する緊急の課題に対応していくために、これまでの成果を踏まえつつ20年度以降の5か年に必要な施策を住民のみなさんの参画を得ながら策定して参ります。
 今年度の主な事業としましては、18年10月に発生した災害の復旧事業を全力で推進するとともに、住民が安全で安心に暮らせる「災害に強いまちづくり」を推進するため、防災情報と合わせて地上デジタル放送受信環境など情報通信基盤となる光ファイバ網の整備に係る計画策定に取り組んで参ります。また、より良い生活環境を整備していくために、西部簡易水道統合事業や合併処理浄化槽の設置事業を継続して実施して参ります。
 産業の振興については、団体営畜産環境整備事業や畜産担い手育成総合整備事業などに引き続き取り組むとともに、林業では「くずまきふるさとづくり基金」を活用して、林業家の再造林を支援し、森林環境の保全や森林資源の環境に係る取り組みを住民と協働で進めて参ります。
 さらに、都市部への情報発信や、交流を推進し、団塊世代の移住や企業誘致などの実現に結びつけていくために、第三セクターとの連携により「くずまきふるさと大使」を設置して参ります。
 学校教育では、20年度の馬淵小学校統合に係るスクールバスの購入や高等学校教育の振興のための通学支援に努めて参ります。
 また、総合運動公園の多目的グラウンド、野球場、子ども広場等の改修工事を実施して参ります。
 協働のまちづくり推進では、引き続き広報や地域担当職員による情報提供に努めながら、自治会等が自主的・主体的な活動が展開しやすいような支援制度の見直し図って参ります。
 また、次代を担う子どもや若者を健やかに育み、その豊かな資質を十分に伸ばせるよう、総合運動公園の改修をはじめ、ジュニアホルスタインクラブへの助成や俳句コンクールの継続など、体育、文化、産業面にわたる事業の推進に努めて参ります。


【行政改革の推進】

 次に「行政改革」について申し上げます。
 行政改革については、平成17年度に策定した第4次行政改革大綱及び同推進実施計画に基づき、町行政全般にわたる改革を推進しているところであります。
 行革大綱においては「職員数」と「地方債残高」について、特に「数値目標」を設定し、重点的に取り組んでいるところであります。職員数については、17年度から21年度までの5年間に41人を削減する計画に対し、19年度当初で年次計画よりも5人多い19人の削減となる見込みであります。また、地方債残高については、18年度において災害復旧事業費に係る地方債を導入したことから若干想定を上回る残高となっていますが、15年度末の94億6千万円をピークに19年度末には70億円台にまで減少し、21年度末には数値目標としております64億円以下に削減できる見込みであります。
 そのほか実施計画に基づき、職員数の減少を踏まえた簡素で効率的な行政組織の見直しの一環として、機構改革を実施する考えであります。18年度に引き続き、課の統廃合を推し進め、19年度から総務課と企画財政課の統合や学校教育課と生涯学習課の統合など「9課3局体制」から「5課4局体制」へ移行すべく準備を進めております。
 また、行政連絡員制度、各種審議会委員等の定数・報酬額の見直しや、地方自治法の改正に伴う関係条例改正について今時定例会にご提案しております。
 協働のまちづくりを掲げる本町にあって、自治会の組織及び財政基盤を強化・充実する観点から見直しを進め、行政連絡員、公衆衛生組合並び納税貯蓄組の組織を自治会組織の下で活動を継続いただくことといたしました。
 さらに、19年度は毎週木曜日の予約制による午後7時までの全庁開庁など「ゼロ予算事業」の導入に取り組んで参ります。ゼロ予算事業は、予算がなければ事業ができないという固定観念を捨て、行政サービスの向上につながる事業を企画・実施していこうとするもので、全庁的に取り組むことにより、行政サービス向上はもとより職員の意識改革にもつながるものと期待しております。


【予算編成】

 次に、平成19年度の「予算編成」について申し上げます。
 予算編成に当たっては、財政運営の健全化を推進するため、引き続き、改革に全力をあげて取り組み、歳出の抑制に努めるとともに、歳入に見合った規模の予算編成をすることを基本に作業を進めたところであります。
 こうした中、19年度の一般会計当初予算案につきましては、総額を49億2,972万円と定め、前年度当初予算を1億9,611万円3.8%下回るものとなりました。
 以下、本予算案における主な特徴を申し上げます。
 まず、歳出のうち人件費については、職員数の12人削減と引き続き三役の給料の減額により、総額の抑制に努めたところであります。
 また各種審議会委員等の報酬につきましては、日額報酬を対象に見直しております。
 物件費では、電算事務委託費や設備管理委託費の見直しを図り経費節減に努めております。
 投資的経費については、前年度比2.2%減の約6億4,300万円でありますが、その中で普通建設においては、緊急性や財源性などの視点から前年度に増して事業の厳しい事前評価を行い、約4億1,112万円となりました。新規事業として、総合運動公園の改修費、消防団第14分団屯所新築費助成、馬淵小学校の統合に向けたスクールバス購入費、町営堀ノ内住宅の水洗化及び除雪車更新費等であります。
 歳入では、町税が所得税から個人住民税への税源移譲に伴う増収を約3,200万円とし、総額で前年度比4.2%増の5億779万円となります。
 地方交付税については、28億1,000万円とし、国の地方財政計画における基本方針や前年度実績を踏まえ、前年度当初より7,000万円増額しております。
 町債は、普通建設事業債、災害復旧事業債及び臨時財政対策債等で、前年度比30.8%減の3億7,730万円であります。このほか、国庫支出金は、災害復旧事業費国庫負担金の増等により前年度比35.3%増の2億8,746万円となり、県支出金は、前年度比21.0%減の3億5,383万円となっております。
 歳入、歳出の主な特徴は以上のような内容でありますが、これに対して最終的に不足する財源として、財政調整、減債、地域づくり主要3基金から前年度より3,000万円少ない1億2,000万円を取り崩して予算編成を行ったところであります。
 特別会計については、国保会計が前年度比13.0%増の11億967万円、簡易水道会計は14.0%増の4億1,967万円、老人保健会計は4.5%減の10億2,027万円、農業集落排水事業会計は12.0%増の2億2,643万円、病院事業会計のうち収益的事業が3.8%減の8億3,993万円であり、5特別会計の総額は、3.1%増の36億1,597万円となっております。
 こうした中、一般会計からの繰出し総額は、前年度を2,318万円上回る4億3,530万円となっております。各会計を取り巻く環境がますます厳しくなってきている状況にあり、安定的な事業運営のために独立採算による経営に一層、努力して参る考えであります。
 以上「まちづくりの重点施策」等の3点について申し上げました。次に重点施策について、総合計画に掲げる7つの観点からその概要を申し上げます。

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