昔話:円之助渕

2015年10月22日

昔話
円之助渕

小田にむかし、円之助という人があったっけド。

毎晩げ円之助の畑さ誰が来て、ウリを盗むけぇド。円之助ぁこんど来たら、とっ捕めぁでけべぇして箕着て、笠かぶって、畑さねまって待っていだド。

そしたら月が出て、真夜中頃になったらば、一つか二つ位の子供のようなものが、こっそり来て柴さ上がって、「ガリッ、ガリッ」と、ウリを食いはじめだズァ。

「ははぁー、この河童コだな」と思っていると、円之助がねまっていだどごさ来て、「おめぁもけぇ」ってウリをのーしたド。

円之助ぁその腕をビダリおせぁだズーば、腕がもげだド。

河童コぁどうでんして、「うすろん」の涯の淵さ、いそいで飛び込んだド。

その夜は一晩中、ガゲ、ガゲと泣ぐので、村の人だずぁ、何事だべと思って起きてきて騒いだズーば、その音がやんだド。

円之助は、河童の腕をどごだりに投げるのもおっかなぐて、リンキの木の根元さ掘っ込んだド。そして朝まになってから行って見だら、その腕はなぐなっていだっけド。カッパが持って帰ってくっつげだべぁ。

それからしばらくして、円之助が蕎麦蒔きして、夕方に川さ行ってげすたがを洗っていだズーば、一つか二つ位の子供が流れてきたド。

円之助がその子を助けべぇして淵さ飛び込んだら、それは子供ではなく河童コだっけド。

円之助はそのまま上がってこねぁへぇで、村の人だずぁけっけで探したら、けっつ玉を抜かれて死んでいだっけド。

それからこの淵を「円之助渕」と呼ぶんだド。

どっどばれぁ。