北緯40度 ミルクとワインとクリーンエネルギーの町

平成20年度町長施政方針演述

公開日 2008年03月01日

■主要施策 第1  第2  第3  第4  第5  第6  第7


平成20年度葛巻町長施政方針演述抜粋(葛巻町議会3月定例会)

 本日、ここに第3回町議会定例会が開催されるに当たり、今後の町政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
 私は、昨年8月28日に町長に就任いたしましてから早や半年過ぎましたが、新たな年を迎え、改めてその責任の重大さを感じております。
 中央においては景気回復にあるといわれる国内経済ですが、地方においては、所得の低迷、雇用の遅れ等その実感はなく、少子高齢化に伴う人口減少、経済のグローバル化の中、原油、穀物など原材料価格の上昇など取巻く状況は、景気減退とともに都市と農山村の地域格差拡大も懸念されます。
 このような厳しい環境の中でありますが、これまで町が持っている多面的な機能と資源、人材を生かしたまちづくりの推進により、持続して発展可能な地域社会を構築するための基盤は着実に整備され、今月には、葛巻町畜産開発公社の日本農業賞大賞や葛巻町森林組合の山村力コンクール林野庁長官賞を受賞するなど全国的な評価を得る状況を迎えております。
 少子高齢化の進展や地方分権改革、財政環境など取巻く状況は厳しく、乗り越えるべき課題は山積していますが、初心を忘れることなく、町民のみなさんの声を結集し、夢を実現する町政を行い、みなさんが誇りを持って住み続けたいと思える町としての山村モデルの創造に全力を尽くして参ります。
 これより「まちづくりの基本方向」、「行政改革」及び「予算編成」の3点の概要について申し上げます。


【まちづくりの基本方向】

 はじめに、まちづくりの基本方向について申し上げます。
 町では、新しいまちづくりの指針として、平成27年度を目標年次とする「葛巻町総合計画」を15年3月に策定し「健康」「環境」「交流」の3つの視点でまちづくりを考え、21世紀の課題とされる食料・環境・エネルギーの問題に積極的に取組むとともに、町が持っている多面的機能と様々な資源、人材を最大限に生かしたまちづくりを推進して参りました。
 後期基本計画においても、この基本的な考え方を踏まえて、町が持っている資源を生かしながら新たな事業展開を図って、“夢を実現する町政”を進めて参ります。町の目指す将来像である「地域の資源を宝に変えて、幸せを実感できる高原文化の町」の実現を目指していく考えであります。そのために後期基本計画では、直面する課題と町民の施策に対する要望等を踏まえて、次の3つのプロジェクトを重点的に推進して参ります。
まず、第1のプロジェクトが、18年10月の豪雨災害の際に課題となりました災害情報の伝達や、2011年7月の地上デジタル放送移行への対応、さらに携帯電話の不感地域の解消など、町民の生活に係わる情報通信基盤について、光ファイバ網を基盤とした総合的な地域情報通信基盤の整備を図り、町民生活の安心を確保して参ります。
 次に第2のプロジェクトが、町の活性化を図るために人口減少の抑制と中心市街地の賑わいを創出し、活力あるまちづくりを推進して参ります。
 ご案内のとおり町の人口は、減少傾向に歯止めがかからない状況となっており、人口の減少は集落の維持や行政運営にも大きな影響を与えてくることから、町の特性にあった第一次産業に伴う企業誘致と既存企業との連携、さらには盛岡広域市町村と連携したIT関連の企業誘致など、雇用を創出するための企業誘致に積極的に取り組むとともに、これと併せてIターン・Uターン、そして団塊世代の受け入れ体制を整備し、農地や空き家等の情報提供を行って、定住人口の増加に繋げて参ります。
 また、衰退傾向にある町の顔である中心商店街の賑わいを創出するために、多くの人が中心部に集まるイベント等を開催しながら、たくさんの人が訪れる魅力的な商店街を再構築し、町の活力を創出して参ります。
 第3のプロジェクトは、町の特徴的な取り組みとなっている新エネルギーと環境対策の取組を一層推進し、町の魅力を高めるプロジェクトです。
 これまで推進してきた風力発電施設の導入や畜ふんバイオマス、木質バイオマス等の新エネルギーと環境への取組によって、町の評価が高まっております。これまでの成果を生かしながら、今後は新エネルギーを町民の皆さんが利用することで、より実感できるよう畜ふんバイオマス、木質バイオマス等の普及を図って、エネルギーの地産地消を推進して参ります。
 また、環境対策では、様々な公益的機能を有する森林を守り育てていくために、森林の適正な管理がなされるよう植林から森林の育成、木材の流通・加工までを一体的に振興し、森林業の再生と環境保全に努めて、山村のモデルとなるよう町の魅力をさらに高めて参ります。
 以上申し上げました3つのプロジェクトを“夢のあるまちづくり”のための重点施策として後期基本計画に位置付けながら、保健・福祉・医療対策や産業の振興、教育の振興など、各部門別の施策と併せて総合的に推進して、町民の皆さんが“住み続けたいと思える町”“誇りを持てる町”の構築を目指して参ります。


【行政改革の推進】

 次に「行政改革」について申し上げます。
 行政改革については、平成17年度に策定した「第4次行政改革大綱及び行政改革推進実施計画」に基づき、引き続き積極的に改革を推進して参る考えであります。本行革大綱等は、国からの「地方行政改革推進指針」で求められた「集中改革プラン」としても位置づけ、効果指標として「職員数の削減」と「地方債残高の縮減」に関する数値目標を設定し、具体的な取り組みを進めているところであります。数値目標に対する進捗状況は、職員数で7割以上、地方債残高で5割以上となっております。
 本行革大綱は「町民参画と協働の推進」「行政サービスの継続と充実」「自立を可能とする財政の健全化」の3つをその目的とし、実施計画では、目的達成のために具体的な93の取り組み項目をバランスよく進めることで、町民との協働のまちづくりを進展させ、行政サービスの継続・充実と財政健全化を一体的に推進し、自立可能なまちづくりを目指すものであります。
 実施計画の期間があと2年となることから、今後は、実施計画の内容の見直しの必要性についても検討するとともに「地方公共団体財政健全化法」の適用も迫ってくることから、関連する町の財務情報の提供や行政懇談会等の住民説明・意向聴取の機会の充実を図るなど、積極的に進めて参りたいと考えております。
 なお、住民目線にたった改革改善を進めるため、町民が利用しやすい役場のサービス環境実現の一つとして、役場庁舎1階フロアを中心に課等の配置の見直しを実施する考えであります。農業委員会事務局を1階に配置換えをし、窓口業務などにおいて高齢者等の利便性の向上を図るとともに、農林環境エネルギー課と連携を密にして住民サービスに当たるものであります。これとあわせて、洋式トイレの設置なども進めて参ります。
 また、住民サービスの担い手である職員については、フラット制導入や職員の意識や意欲を高める等、組織管理や研修に関する事項についても検討を進めていく考えであります。


【予算編成】

 次に、平成20年度の予算編成について申し上げます。
 新年度から財政健全化法が施行され、行財政を取り巻く環境は新たな局面を迎えており、連結決算等を意識し、全会計を通じてトータルでの収支バランスの確保を念頭に置きながら作業を進めたところであります。
 こうした中、20年度一般会計当初予算案については、総額を48億1,766万円と定め、前年度当初予算を1億1,206万円、2.3%下回るものとなりました。
 以下、本予算案における主な特徴を申し上げます。
 まず、歳入でありますが、町税のうち町民税を約800万円、4%の減、固定資産税を約1,400万円、5.5%の増を見込み、町税総額では、ほぼ前年度並み(約400万円、0.7%増)の5億1,100万を計上しております。
 地方交付税については、普通交付税が新たに地方再生費算定分として9,900万円程度加算になる見込みですが、国の地方財政計画等を踏まえ、地方交付税総額では1,000万円、0.4%減の28億円としております。
 また、町債については地域情報化基盤整備事業債を3億1,700万円ほど見込んだことから、町債全体では、約1億2,900万円、34%増の5億650万円を計上いたしました。
 次に歳出でありますが、義務的経費については、これまでの行政改革の効果等により人件費を約1億2,700万円、12%減の9億8,000万円、公債費を約1億100万円、9%減の10億4,500万円といたしました。また、新たに後期高齢者医療広域連合への負担金が加わることや制度改正に伴い市町村負担が増えている補助費、扶助費については、それぞれ約5,700万円、9%増の6億7,100万円、約2,400万円、7%増の3億7,000万円としております。
 一方、投資的経費については、普通建設事業費が地域情報化基盤整備事業費等を踏まえ、約3億1,800万円、77%増の7億2,900万円とし、災害復旧事業費は2億3,200万円皆減としたところであります。
 歳入、歳出については、以上のような内容でありますが、事業費の重点化・精査、経費の効率化等に努めた結果、基金の取り崩しを前年度比約1億1,800万円、85%減の2,200万円程に止めております。
 特別会計については、新たに設置する後期高齢者医療事業特別会計に、初年度事業費として6,960万円を計上したところであります。
 その他の特別会計については、国保会計が前年度比3,058万円、2.8%減の10億7,910万円、簡易水道会計が5,993万円、14.3%減の3億5,975万円、農業集落排水事業会計が1,848万円、8.2%減の2億795万円、また、病院事業会計のうち収益的収支が22万円増の8億4,015万円で、ほぼ前年度並みであります。
 なお、老人保健会計については、従来、老人保健会計で執行していた事業が後期高齢者医療事業に引きつがれることから、老人保健会計は7億7,170万円、75.6%減の2億4,910万円と大幅な減額であり、この結果、6特別会計の総額は、22.4%減の28億564万円としております。
 また、一般会計からの繰出し総額は、主に老人保健会計の縮小により、前年度を約6,000万円下回る4億2,100万円程となっておりますが、各会計を取り巻く環境は、ますます厳しくなってきている状況の中で財政健全化法への対応等を踏まえ、改めて、安定的な事業運営のため独立採算による経営に一層、努力して参る考えであります。
 以上「まちづくりの基本方向」等3点について申し上げました。次に重点施策について、総合計画に掲げる7つの観点からその概要を申し上げます。



第1は「健康で快適に暮らせるまちづくり」についてであります。

 健康づくりについては、健康づくりの基本となる「健康くずまき21プラン」の計画に基づいた町民の健康づくりを推進して参ります。
平成20年度は、妊婦の経済的負担軽減と少子化対策のため妊婦健康診査負担を3回から5回に拡大するとともに、引続き不妊治療費助成を行って参ります。
すべての町民が生涯にわたり、心身ともに、健康で豊かな生活を送ることができるよう「自分の健康は、自分でつくる」という意識の高揚を図るため、地域組織等と連携を密にしながら、乳幼児から高齢者までの各種健康診査、健康相談を実施するとともに、新たに、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策を取り入れた特定健康診査・保健指導を実施いたします。併せて健康の基本となる食生活や食文化に対する知識の普及・啓発を図るため高校生を中心とした「出前食育」をはじめ、各年齢層に応じた食育指導の推進に努めて参ります。
また、自殺予防対策のため、講演会の開催などを通じて予防に関する知識の普及・啓発に努めて参ります。
 病院経営については、医師確保を最重要課題として捉え、関係機関と連携をとりながらこの解消に全力を傾注いたします。地域医療を担う医師の確保には、診療態勢を含めた良好な勤務環境の整備が不可欠であり、町民のご理解を得ながらこの整備を進める考えであります。
診療報酬改定や地方自治体における公立病院改革プランの策定など、医療をめぐる情勢は依然変動を続けています。今こそ地域医療の中核的施設として住民の命と健康を守る病院の使命を肝に銘じ、患者サービスの向上と経営の健全化に努めて参ります。
 国民健康保健事業については、20年度から後期高齢者医療制度の導入、それに伴う国民健康保険税の改正、さらに特定検診・保健指導が保険者である町に義務付けられるなど、大きな変革の時期を迎えております。
後期高齢者医療制度をはじめとする制度改正等については、住民の皆様からご理解をいただけるよう説明会の開催など広報活動に努めて参りました。今後も円滑に新制度への移行が図られるように努めて参ります。
また、引き続き町税特別徴収対策本部が中心となり保険税の収納率の向上を図りながら、医療給付費等の確保に努め、国保財政の健全化を進めて参ります。
 通院バスの運行については、引き続きJRバス及び葛巻タクシーに委託するとともに、町の通院バスを運行し、通院利用者の利便性に配慮した輸送サービスに努めて参ります。
 地域福祉については、社会福祉協議会をはじめ、自治会、各関係機関や団体等との連携・協力により、推進に努めているところであります。「地域福祉計画」に基づき、共に支え合う地域ぐるみの福祉を一層推進して参ります。
 高齢者福祉については、「高齢者健康福祉計画」に基づき、生きがいと健康づくり、介護予防に努めるとともに、新年度には「高齢者健康福祉計画(21年度~23年度)」を策定し、高齢者福祉を一層推進して参ります。
 介護保険事業については、高齢化率が36%を超える本町においては、地域包括支援センターの適切な運営に努め、介護保険事業を運営する盛岡北部行政事務組合の「第3期介護保険事業計画」や町の「高齢者健康福祉計画」に基づき、介護予防事業を始めとする各種高齢者支援施策を推進して参ります。
 障害者福祉については、「障害者福祉計画」に基づき、障害をもつ人も地域で安心して生活できるよう、国の動向を注視しながら施策の積極的な推進に努めるとともに、新年度においては、17年度に策定した「障害福祉計画」を見直し、第2期計画を策定し障害者福祉を一層推進して参ります。
 子育て環境の充実については、安心して子育てと働くことができる環境づくりを推進するため、「葛巻町子育て支援計画」に基づき、乳児保育、延長保育、一時保育及び放課後児童保育を行うとともに、児童福祉施設の適正配置について引き続き検討して参ります。
また、保育所への3人入所の場合、第3子の保育料を無料化し、保護者の負担軽減を図ります。
水道事業については、公営企業としての健全経営を念頭に、安全で安心な水の供給に努めて参ります。西部簡易水道統合整備事業において、浄水、配水施設及び一部配水管が完成することから、一部供用開始して参ります。
 下水道事業については、農業集落排水設備及び町整備型浄化槽設備指定工事店の協力による水洗化宅内工事の「無料見積もりサービス」を実施するなど、農業集落排水の普及率の向上及び町整備型浄化槽の普及促進を図って参ります。


第2は「地域で支え合うまちづくり」についてであります。

 消防防災については、一昨年の大雨洪水災害を教訓とし「自分たちの地域は自分たちで守ろう」と組織された自主防災組織の育成を図るとともに、消防団及び盛岡中央消防署葛巻分署を中心に、町民の防災意識の高揚、住宅火災警報装置の普及など災害に強いまちづくりの構築に努めて参ります。
また、第12分団消防ポンプ自動車の更新、防火水槽の整備など消防設備の充実を図って参ります
 交通安全・防犯については、交通指導隊を中心に高齢者、女性ドライバーへの安全教育の実施など地域を挙げて事故防止の推進と、防犯指導隊、防犯協会等関係団体と連携を密にして、安全で安心なまちづくりに努めて参ります。


第3は「環境を守り育てるまちづくり」についてであります。

 一般廃棄物処理については、資源の有効利用の観点から、ごみのリサイクル活動と資源化、減量化の推進に努め、特にも、古紙類の分別、買い物マイバック運動を進めて参ります。
 また、クリーン葛巻行動の日(道路の部、河川の部、山の部)を継続し、ごみの不法投棄に対する町民総監視体制の構築に努めて参ります。
 地域エネルギーの活用については、町単独の新エネルギー導入支援事業を継続して地域新エネルギー設備の導入を奨励して参ります。
 平成20年度は特に、薪ストーブの利用拡大を目指し、支援策を強化します。


第4は「資源を生かした産業を推進するまちづくり」であります。

 農業全般については、農業従事者の減少・高齢化が加速するとともに、輸入農畜産物の増加により市場価格が低迷し、さらに、原油価格の高騰や、燃料用エタノール向けとうもろこしの需要増加により飼料価格、農業用生産資材及び燃料などが相次いで値上げされており、農業を取り巻く国内外の情勢は大きく変化し様々な課題に直面しております。
このことから、経営感覚に優れた経営体や担い手を引き続き育成するとともに、主業型農家及び小規模・兼業農家がそれぞれ役割分担のもと、農業の経営が健全化できるよう、総合的な技術・経営支援の強化を図って参ります。
 農地の利用については、農地の所有から利用への転換による農地の有効利用、農地の面的集積の促進、耕作放棄地の解消等に向け、農地情報のデータベース化、農地パトロールの強化を図って参ります。
また、農業者の老後生活の安定、福祉の向上及び農業者の確保に向けた、農業者年金制度の普及・定着、認定農業者を中心とした農地の利用集積、家族の役割分担を明確化した家族経営協定の締結の推進に努めて参ります。
 園芸振興については、多様化する販売対策と、消費者ニーズに対応し、食料供給基地として信頼される産地を確立するために、「いわて希望農業担い手応援事業」及び「葛巻型農業構築支援事業」を実施して参ります。
 水田営農については、平成19年度に地域の作物戦略・販売、水田の利活用、担い手の育成など将来方向を明確化した「地域水田農業ビジョン」を作成し取り組んでおり、引き続き葛巻町水田農業推進協議会と連携し、米の生産調整と併せて一体的に推進して参ります。
 畜産振興については、飼料価格や農業生産資材などの相次ぐ値上げに加え、牛乳・乳製品の消費をめぐる環境は楽観できない状況にあるなど当町の農家は、かつて経験したことのない程の危機的状況にあることから、経営への影響緩和策として「デントコーン種子助成事業」及び町畜産開発公社への預託牛に対する「育成牛預託助成事業」を実施して参ります。
また、草地造成・整備を行い粗飼料自給率の向上を図るために引き続き「畜産担い手育成総合整備事業」を実施するとともに「黒毛和種繁殖牛増頭対策助成事業」により、肉用牛飼養頭数の拡大に努めて参ります。
 林業振興については、町森林組合と連携し、薪フェスタや森林の恵みフォーラム、植樹祭など多彩なイベントの開催を通して森林保全と森林の恵みを日常生活に生かしていくことの重要性を訴えて参ります。
新制度による森林整備地域活動支援交付金事業により、団地化による森林整備と作業路の開設拡大を図るとともに、伐採跡地への再造林や間伐材の搬出助成など町独自の支援策も継続し、集成材加工を中心として町産カラマツのブランド化と流通拡大にも努めて参ります。
 林道整備については、県代行林道「鈴峠1号線、畑福線」が事業着手されましたので、引き続き「鈴峠2号線」の事業化に向け要望を強め、同様に、緑資源機構から県に引継がれる幹線林道「葛巻・田子線」の早期完成を目指します。
 治山事業については、県が事業主体として計画的に整備されておりますが、20年度は、七滝地区と触沢地区の谷止工事が実施される予定であります。
商工業の振興については、商工会が中心となって組織している「まちなか活性化協議会」による中心部への集客を図るイベントや地産地消の商品開発の取り組みを支援し、中心市街地の賑わいの創出に取り組むとともに、盛岡広域市町村で組織する盛岡地域産業活性化協議会等と連携し、情報収集を図りながらIT関連企業等の誘致に努め、雇用の場の創出に取り組んで参ります。
 観光産業については、県のエコパーク平庭高原に基づく「いわて体験交流施設」が20年度に葛巻ワインと隣接した場所にオープンする予定であり、くずまき高原牧場をはじめとした既存の施設等と連携しながら、新たな魅力ある体験滞在型観光を創出するとともに、近隣市町村と連携しながら、それぞれの魅力を巡る滞在型ツアーの実施など、一層の交流人口の増加を図って参ります。


第5は「人と文化を育むまちづくり」についてであります。

 学校教育については、学習定着度調査から本町の児童生徒は県内において上位にあり、また、地域の教育力を生かした体験学習等により、地域への理解を深め、郷土を愛する心が育ち、健やかに成長しているところであります。
今後においても、授業方法の改善を図りながら、地域に根ざした教育を推進し、広い視野に立って考え、主体的に行動する子供、思いやりを持ち人間性豊かな子供、心身ともに健康で明るくたくましい子供の育成を期し、知育、徳育、体育のある人間形成に努めて参ります。
 就学前教育については、町の子育てを支援するための幼保連携に取り組むとともに、私立幼稚園の保護者負担を軽減するため就園奨励補助並びに幼児教育の重要性を踏まえ、引き続き私立幼稚園に対し運営費を助成して参ります。
 学校統合については、平成20年度は五日市小学校と馬淵小学校が統合することとなりましたが、今後においては、随時必要な情報を提供しつつ、保護者や地域住民の意向を聞きながら学校の適正配置に向けて取り組んで参ります。
 学校給食については、衛生管理を徹底するとともに、地産地消の推進を図りながら「食の教育」を進めます。また、食の安全が大きな課題となってきていることから安全な給食の提供に努めて参ります。
 中高一貫教育については、本年をもって7年目を迎えますが、授業交流の一層の推進を図り、就職や上級学校への進学などに効果を上げてきたところであり、今後も継続して参ります。
 いじめ・不登校問題については、中学生の相談相手及び保護者などの教育相談にも応じることができる体制として、引き続き「心の教育相談員」を中学校に配置して参ります。
 高等学校教育の振興については、少子化に伴う生徒数の確保が大きな課題でありますが、地域に中等教育の場を確保するため、今後とも葛巻高校教育振興協議会に対して、通学補助制度等に重点をおいた助成を行いながら魅力ある学校づくりのためにできる限りの支援を行って参ります。
 生涯学習については、新たに策定した第6次生涯学習推進計画に沿って、町民への学習機会の提供に努めるとともに、引き続き学習活動のリーダーやサポーターを養成し、学習事業推進の体制づくりを進めて参ります。
また、小学校区において、地域住民の参加・協力を得て、放課後や週末などに余裕教室を活用し、安心・安全な居場所を設ける「放課後子ども教室推進事業」を進めて参ります。
町で進める施策や課題に関する情報を提供するとともに地域の理解を深め、協働のまちづくりにつながるよう内容を見直しながら出前講座をさらに充実をして参ります。
 公民館事業については、町民のニーズに応えるよう学習機会の提供と拡充に努めるために各種講座や教室を開催し、地域に根ざした公民館活動を進めて参ります。また、公民館図書室については、図書システムを活用し、利用状況の分析を行いながら、図書の充実に努めるとともに移動図書館車の運行等により読書の普及拡大に努め、ブックスタートや読み聞かせ事業等を継続し、幼少時からの読書習慣を図って参ります。
 青少年育成については、青少年育成ネットワーク等と連携を図り、地域の教育力の向上と青少年の健全育成の推進に努めて参ります。
また「子ども長期自然体験村・スノーワンダーランド2009」への支援や「ジュニアリーダー・指導者養成研修」などを実施し、人間性豊かな青少年を育む場の創出に努めて参ります。
また、友好姉妹村である沖縄県北中城村から中学生の訪問を受け入れ、交流を通して体験活動や団体活動、社会参加活動に積極的に取り組むリーダーを養成して参ります。
 生涯スポーツについては、幼児から高齢者に至るまで町民が参加できる、国際チャレンジデー、町民総合体育大会やスポーツ・レクリエーション祭などを開催するとともに、スポーツ活動の機会を拡充するため地区体育振興会の支援、スポーツクラブの育成、各種スポーツ教室等普及振興を図ります。
また、19年度にリニューアルした総合運動公園のさらなる活用促進ともに社会体育館の整備充実を図りながら各種事業を展開して参ります。
 芸術文化の振興については、文化事業の充実、活動成果の発表の場の拡充や芸術・文化団体の活性化の支援に努めて参ります。
また、俳句で文化の薫るまちづくり事業により、俳句に親しむ機会を提供して、より多くの人々が俳句に接することができるように努めて参ります。
 文化財の保護については、郷土資料館等における収蔵・展示によりその保護に努めるとともに、車門「明神穴遺跡」の調査活動や「平庭鉄山跡」の確認調査など今後の利活用に向けての調査・研究を進めて参ります。


第6は「交流を広げ、誇りをもって情報発信するまちづくり」であります。

 国・県道整備については、一部区間で急カーブや狭隘な箇所が多く、安全で安心できる道路整備を国・県に対して引き続き要望して参ります。
国道281号では、堀の内橋の歩道整備は平成20年度に完成する見込みであり、江刈川地区県単道路歩行環境整備事業の継続、堀の内茶屋場区間の流雪溝修繕、国道340号では、国境大峠区間の舗装修繕、主要地方道一戸葛巻線では、県単道路災害防除工事などが予算化されたところであります。
平庭道路の整備については、平庭トンネル早期着工・完成促進住民大会の開催等官民一体となり、早期実現に向け要望して参ります。
 町道については、新規に七滝線、松ヶ沢線の整備に着工いたします。根地戸線は継続して工事を進め、早期完成を目指して参ります。田子星野線は、工法等を引き続き検討して参ります。
 災害復旧については、県及び町ともに18年災の災害復旧工事が全て発注となり、20年度内に完了する見込みとなっております。
また、19年災の災害復旧工事は馬淵川2箇所が計画されております。
 バス交通対策については、バス路線を維持していくために、利用促進の取組を推進するとともに、葛巻線、吉ヶ沢線の2路線の広域生活路線について、県の補助金を活用しながら関係町村と連携して、路線の維持に努めて参ります。
 地域情報化の推進については、昨年4月から本町における地域情報化について調査研究が進められ、12月にその成果が取りまとめられたところであります。
今後は、調査研究成果をもとに情報化基盤の土台となる公共施設間を光ファイバ網で接続するイントラネット整備事業、行政情報・防災情報などを屋外で音声により告知する拡声装置の整備などを推進し、地域情報化の格差是正に努めて参ります。
 携帯電話のエリア拡大については、現在、小屋瀬、元木地区及び冬部地区において基盤整備が進められており、その他の地区においても通信事業者単独事業が計画されていることから、引き続きエリア拡大に努めて参ります。


第7は「協働のまちづくり」であります。

 住民参画の推進については、個人の考えや生き方が尊重される現代社会において、ひと・地域の絆の希薄化は地域社会・地域活動の存続に関わる大きな社会問題となっていることから、地域で助け合う「結い」の再生を事業の柱に、ひと・地域・まちの魅力を一層高める自主的・主体的な活動の支援に努めるとともに、引き続き地域担当職員による行政情報の提供、審議会等への公募枠の設置、まちづくりへの参画機会の拡充を図り、地域と行政の協働を推進して参ります。
 情報の共有については、いち早く県からの移譲を受け旅券事務に取り組むなど町民サ-ビスの向上に努めて参りましたが、新年度から3年間、住基カ-ド交付手数料を無料化し、住基カ-ドの普及促進を図って参ります。
また、住民基本台帳ネットワ-クシステムが2月に更新され、より一層の行政サ-ビスの利便性の向上と行政事務の効率化が図られました。昼休みの窓口の対応、窓口延長についてもさらに充実させて参ります。

 以上、今後における町政運営の基本方針と平成20年度の施策の概要について申しあげました。少子高齢化の進行や地方分権の推進など現下の町政を取り巻く環境は大変厳しい状況にあります。
私は、これまで全てにおいて「夢しか実現するものはない、どんな大きな問題も必ず解決の糸口はある、ピンチは大きく伸びるチャンスだ」と考え取り組んで参りました。今後もこの3つを信条として、いかなる難題にも果敢に挑戦して参る覚悟であります。
夢に向かって挑戦する希望に満ち溢れる町政を行い、町民の皆様が「住み続けたいと思える町」、「誇りを持てる町」として「夢を描き、夢を実現する」まちづくりを推進して参ります。
また、自立するまちづくりをめざし、町民の皆様の声を結集し、情報の共有と一層の信頼関係を保ち、共に歩み続けたいと考えます。
どうか、議員各位並びに町民の皆様には、御理解と御協力をお願い申し上げまして、私の所信表明といたします。

TOP