平成23年度町長施政方針演述

2011年3月3日

まちづくりの重点施策
行政改革の推進
予算編成

■主要施策 第1 第2 第3 第4 第5 第6 第7




平成23年度施政方針

○平成23年度葛巻町長施政方針演述(葛巻町議会3月定例会)

  本日、ここに第28回葛巻町議会定例会が開会されるに当たり、今後の町政運営について、私の所信の一端を申し上げます。

平成20年の秋に端を発した世界的な経済・金融危機は当町においても大きな影を落としているところであります。このところ、景気は踊り場を脱しつつあるとの評価も出始めてはおりますが、依然、当町の経済、雇用の情勢は非常に厳しい経済情勢の中におかれています。
このような中、国においては緑の分権改革、一括交付金の導入等、政権交代より始められた地域主権改革がいよいよ本格的に進むものと期待しております。子ども手当の今後の財源問題や市町村に対する一括交付金の配分方法等、明確に示されているとはいえない部分もあり、また、今後の国政についても不透明さを増しているところでありますが、いずれにしても、これまでの地域主権への流れが堅持されるよう、動向を注意深く見守りつつ、国、県に対しても強く働きかけて参ります。
町においては、平成23年度は総合計画の後期基本計画に定める5年間のうち、4年目の年となります。町民の皆様が「住み続けたい町」、「誇りの持てる町」と思える夢のあるまちづくりの実現に向け、折り返し地点を過ぎたところであります。
この間、「自立の町づくり」のため、持続可能な町づくりの基盤の確立を目指して参りました。議員各位並びに町民の皆様のご協力をいただいて着実に前進し、行財政基盤の強化がなされてきているものと考えております。
一方で、今後も「自立した町づくり」を継続するためには、人口減少への対策が大きな課題となります。今議会で提案申し上げる来年度当初予算においても、地域コミュニティの活性化、就労機会及び住環境の確保、子育て支援、定住支援等、町民の安全・安心な暮らしを確保するための新規事業等を盛り込んだところであります。
また、計画期間が平成25年度からとなる次期葛巻町総合計画の策定に向けた取り組みについても、町民各位のご意見を頂きながら、今年度から進めて参りたいと考えております。
昨年は町村合併55周年という記念すべき年であり、「新たな出発(たびだち)」の年として、様々な事業を展開した年でありました。今年は兎年であります。文字どおり飛躍の年となるよう、議員各位並びに町民の皆様と力を合わせて町政運営に取り組んで参る所存であります。

これより、「まちづくりの重点施策」、「行政改革の推進」、「予算編成」の3点について申し上げます。
 


【まちづくりの重点施策】

 はじめに、平成23年度のまちづくりの重点施策について申し上げます。
町総合計画に掲げる「地域の資源を宝に変えて幸せを実感できる高原文化のまち」の将来像に向け、後期計画に位置付ける3つの「夢のあるまちづくりプロジェクト」を実践していくことで、安心・活力・魅力のあるまちづくりを推進し「山村のモデルとなるまち」「住み続けたい町」「誇りを持てる町」の実現に積極的に取り組んで参ります。
1つ目は、「住民の安心・安全な暮らしの実現」を図るため、平成20年度から3カ年で整備を進めてきた総合的な情報通信基盤施設が完成し、4月からの本格運用を待つばかりとなりました。また、利用料については月額525円とし、8月以降から徴収することとしたところです。今後、町全域においてタイムリーな防災・行政情報の受信、地デジ放送・ラジオ放送の視聴、高速インターネット利用等、いよいよ都市部と遜色ない情報通信サービスの享受が可能となります。
2つ目の、活力ある町を創出していくための「交流・定住人口の拡大プロジェクト」を推進するため、まちなかでのイベント開催に対する支援を引き続き行うとともに、国道281号改良整備と中心市街地再整備に向けた構想計画の策定等、中心市街地の活性化へ向けた取り組みを県と連携しながら進めて参ります。また、昨年実施された国勢調査でも明らかになっているとおり、人口減少は当町が直面する大きな課題であります。町民・移住者を問わず安心してこの町に住み続けることができるよう、定住促進奨励金などの町外からの移住者に対応した事業に加え、新たに新婚ライフサポート事業、住宅リフォーム応援事業等の町民が充実した生活を送るため事業、また、5歳児の保育料無料化や小学生までの医療費無料化等の子育て支援策等、きめ細かな対策をさらに推進して参ります。
3つ目の、「環境・新エネルギーの推進プロジェクト」では、本年2月に東京都港区と町産材利活用に係る協定を締結したほか、首都圏の子供たちを対象にした体験教育施設へ木材を提供するなど、都市との取り組みによる森林の適正管理と集成材を含めた町産材の利用促進に努めるとともに、公共施設の省エネ・グリーン化推進事業、新エネルギー等導入促進事業に引き続き取り組んで参ります。


【行政改革の推進】

次に行政改革の推進について、申し上げます。
平成17年度に行財政審議会の答申を受けて、「第4次行政改革大綱及び行政改革推進実施計画」を策定し、21年度までの5年間、行財政改革に全庁を挙げて取り組んで参りました。
職員数を21%、地方債残高を30%削減するという県下でも最も厳しい目標を設定した集中改革プランでもありましたが、それぞれ所期の目標を上回る数値を達成しております。
今年度は、平成23年度から5年間を推進期間とする「第5次行政改革大綱」について、行財政審議会でご審議をいただきながら策定準備を進めて参りましたが、年度内には審議会の答申がなされる予定となっております。新年度から新しい大綱に基づき、引き続き行財政改革に努めて参ります。
また、職員の資質向上を目的とした県への職員派遣研修、人事交流についても継続するほか、各種研修についても積極的に行って参ります。


【予算編成】

次に、平成23年度の予算編成について申し上げます。
一般会計当初予算については、総額を47億3,013万円と定め、ほぼ前年度並みの予算規模とすることができました。さらに平成22年度からの繰越事業として、普通建設事業を中心に6億円ほどを予定しているところであり、23年度の執行額としては、53億円規模となるものであります。
以下、本予算案における主な特徴を申し上げます。
まず、歳入でありますが、町税については、ほぼ前年度並み(約230万円、0.5%減)の4億7,900万円程を計上しております。
地方交付税については、30億5,000万円とし、国の地方財政計画における基本方針を踏まえ、前年度当初より8,000万円増額しております。
町債については、総額3億4,000万円程を計上しました。このうち臨時財政対策債については、国の地方財政計画を踏まえ1億円減の1億8,000万円としたところです。
次に歳出でありますが、これまでの行政改革の効果により、公債費を約1億1,000万円減の8億6,000万円とし、総額の抑制に努めたところであります。
投資的経費については、災害復旧事業費や葛巻小学校プール整備事業費等を踏まえ、前年度比24%増の3億9,000万円程としております。
歳入、歳出については、以上のような内容でありますが、事業費の重点化、経費の効率化に努めた結果、基金の取り崩しを必要最小限にとどめたところです。
特別会計については、前年度当初予算と比較し、5特別会計の総額で約5,900万円、2.4%減の24億6,000万円程となっております。
国保会計については、国保税の落ち込みや国庫支出金等の減少など厳しい財政状況が見込まれることから、引き続き一般会計からの繰入措置を継続し、安定的な運営の確保に努めたところです。また、病院会計についても、経営安定化対策として一般会計からの繰り入れを行い、安定的な経営の確保に努めております。
各会計とも財政上、特殊要因を抱えており、安定的な事業運営のため、一層の経営努力をして参る考えであります。

以上、「まちづくりの重点施策」等の3点について申し上げました。
次に、町総合計画の体系ごとに施策の概要について申し上げます。



第1は、「健康で快適に暮らせるまちづくり」についてであります。

健康づくりの推進については、健康づくりの基本計画である「健康くずまき21プラン」に基づいた町民の健康づくりを継続して推進して参ります。
全ての町民が、生涯にわたり心身ともに健康で豊かな生活を送ることができるよう、「自分の健康は、自分でつくる」との意識の高揚を図るため、保健師の地域担当制による家庭訪問指導の充実をはじめ、特定健診、特定保健指導、うつスクリ-ニング事業を行い、乳幼児から高齢者までの生活習慣病予防と「こころ」に重点をおいた各種健康診査、健康相談及び健康教育に取り組んで参ります。
医療費助成については、平成23年度に医療費無料化の対象を小学生まで拡大して参ります。また、全額公費による子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を行い、ウイルス感染による疾病の予防に努めて参ります。 
病院経営については、全国的な医師不足、地域偏在など自治体病院の置かれる環境は依然厳しい状況が続いていますが、町民が安心して暮らせる医療の確保が「住み続けたい町」の基礎的条件と位置づけ、国、県等関係機関との連携と支援を受けながら医師不足の解消に全力を傾注して参ります。
また、公立病院改革プランに基づき、CTをはじめ医療機器の更新、一般会計繰入金の拡充継続など地域医療の中核施設として町民から信頼される安全な医療の確保と経営の健全化に努めるとともに、病院の新築整備について、可能な限り早期の実現を目指し検討して参ります。
国民健康保険事業については、健康で誰もが安心して医療を受けられる国民皆保険制度を維持するため、引き続き国保財政自立対策費として一般会計からの繰入れを行うとともに、保険税の収納率向上を図って参ります。
高齢者医療制度については、国において新制度が検討されているところであり、動向を注視しながら、岩手県後期高齢者医療広域連合等と連携して被保険者が安心して医療を受けられるよう努力して参ります。
地域福祉については、地域福祉計画に掲げる「共に支え合う福祉のまちづくり」の理念に基づきながら、自殺予防対策として「こころの健康づくり連絡会」の組織基盤整備を図るとともに、その構成員を通じて、「小地域見守りネットワ-ク」等の普及推進と予防知識の普及・啓発に努めます。また、各種相談機関や社会福祉協議会等の関係団体との連携を強化し、情報収集と相談支援体制の充実を図りながら地域ぐるみで福祉の充実を図って参ります。
高齢者福祉については、高齢化率が37%を超える中で、「高齢者健康福祉計画」に基づき、「社会参加と生きがいづくり」、「健康づくりと介護予防」、「安心のためのサービス充実」を柱に、高齢者が安心して暮らすことできるための支援を充実させて参ります。
介護保険事業については、地域包括支援センターの果たす役割が益々重要となっており、介護問題など総合的な相談体制の充実を図るとともに、盛岡北部行政事務組合の「介護保険事業計画」や「高齢者健康福祉計画」に基づく「歯つらつ栄養教室」などの介護予防教室の充実や、認知症サポーター養成講座の開催により、認知症について子どもから高齢者までの幅広い世代の方々に理解していただき、見守りの充実を図るなど各種支援施策を推進して参ります。
障害者福祉については、「障害者福祉計画」に基づき、障がいのある人もない人も共に暮らし、ともに活動できる社会を実現するため、今後も施策の一層の充実を図って参ります。また、公共施設等のユニバーサルデザイン化を引き続き進めて参ります。
地域活動支援センターについては、ひきこもりの方々の社会参加や仲間づくりの場としての役割を担うため、設置主体である町社会福祉協議会とともに事業の推進を図って参ります。また、平成23年4月より授産活動分野が就労継続支援B型作業所の指定を受ける見通しであり、障がいのある方々への就労機会の提供に力を入れて参ります。
子育て支援環境の充実については、「子育て支援計画(後期行動計画)」に基づき、安心して産み育てられる環境づくりに努め、教育委員会との連携のもとに、子育て相談体制の強化や、障がい児の療育施策等の推進に努めて参ります。
住宅の耐震化の推進については、町民が安全な住宅で安心して生活できるよう耐震化の必要性について啓発し、耐震診断士派遣事業により簡易耐震診断実施率の向上に努めます。また、診断後における耐震改修工事助成事業についても継続して実施します。
水道事業については、引き続き安全で安心な飲料水の供給を図ります。また、施設についても計画的に整備を進めて参ります。
下水道事業については、農業集落排水施設及び町整備型浄化槽の普及率の向上に一層努めて参ります。また、「高齢者世帯等水洗化普及支援事業」を継続し、要支援世帯の生活環境の改善を図ります。


第2は、「地域で支え合うまちづくり」についてであります。

防災については、気象警報発令時の災害警戒本部体制を強化するとともに、地域情報通信基盤施設を活用した災害情報の迅速な収集と町民・被災者への情報提供に取り組み、気象警報発令時の町民の不安感の解消と災害の未然防止に努めて参ります。 
 消防については、装備の拡充や消防団員の教育訓練の充実を図るとともに、青年層の積極的な加入促進に取り組み、消防団活動の充実強化を図って参ります。
婦人消防協力隊、幼年少年消防クラブ及び自主防災組織に対して引き続き育成指導を行うとともに、地域ぐるみの消防防災体制の確立に努めて参ります。
消防・防災施設の整備については、多様化する各種災害に対して迅速かつ的確に対処するため、第15分団消防ポンプ自動車及び第8分団小型動力ポンプ積載車の更新など引き続き消防施設の更新・整備を重点的に進めて参ります。
また、先般の大雪災害を教訓に、非常食の備蓄を行うとともに、衛星携帯電話及び発電機を整備し、緊急時の連絡体制の整備、停電時の応急対策についても、充実させて参ります。
防犯・交通安全については、平成20年3月17日から交通死亡事故発生ゼロを継続中であります。関係各位のご尽力によるものと感謝を申し上げます。引き続き、交通指導隊を中心に高齢者への交通指導、子供たちへの交通安全教育等、交通事故防止の活動を推進するとともに、防犯指導隊、防犯協会など関係団体と連携して防犯活動の推進を図り、地域を挙げて安全で安心なまちづくりに努めて参ります。


第3は、「環境を守り育てるまちづくり」についてであります。

一般廃棄物処理については、当町の廃棄物処理施設等は老朽化が著しく年々修繕費が嵩んでいく中で、施設の改修あるいは延命化対策が喫緊の課題となっております。
このような状況を踏まえ、平成23年度は自治会等との連携を図りながら町民のご理解のもと、生ごみの減量対策や資源ごみの分別収集の拡大など一層のごみ減量化と再資源化を推進し、併せてリサイクル活動団体への支援を継続して参ります。
環境保全・自然保護については、主要河川の水質検査あるいは巡回環境パトロール等を継続し、水質浄化や廃棄物不法投棄撲滅等に取り組んで参ります。
また、先人から受け継いだ豊かな自然を町のかけがえのない財産として守り、着実に次世代に引き継ぐために自然保護区の指定等に取り組んで参ります。
地域エネルギーの活用については、町独自の新エネルギー導入支援事業を継続するほか、葛巻町地域エネルギー資源利活用調査検討委員会に現在とりまとめいただいている「地域エネルギー資源利活用調査」に基づき、具体策などを検討して参ります。
一方、エネルギー政策では、「新エネルギーの活用」と「省エネルギーの推進」が両輪となるべきであると考えており、引き続き、公共施設の省エネ・グリーン化推進に取り組むこととし、平成23年度は老朽化が進んでいる総合運動公園外周の街路灯をLED街灯に切り替る事業を予定しているところであります。


第4は、「資源を生かした産業を推進するまちづくり」についてであります。

 農業全般については、多様化する需要と消費の低迷、農産物価格の下落、TPPへの参加問題など様々な課題に直面しております。
また、昨年は7月の集中豪雨や降雹による被害、そして猛暑と近年まれに見る厳しい気象条件により農作物に被害があったほか、昨年末から年始にかけての記録的な豪雪により農業施設等の被害が発生するなど、農家の経営を取り巻く状況は一層厳しさを増してきております。
このことから、被災農家等への支援として、県と町により畜産施設や園芸施設の復旧費用の2分の1を支援するとともに、併せて自然災害に伴う農家の資金借入に対する利子補給等を実施して、農家経営の安定化に努めて参ります。
農地については、耕作放棄地に対し、引き続き国の再生利用交付金を活用するとともに、「なたね」の作付けに助成を行い、遊休農地の解消を図りながら菜種油を生産・販売し、さらに廃油をBDF(バイオディーゼル)として活用することで、資源循環型社会を推進して参ります。
園芸の振興については、多様化する需要への対策として、新規作目に積極的に取り組み、消費者に期待される産地化を推進するために、「いわて希望農業担い手応援事業」及び「葛巻型農業構築支援事業」を活用しながら、新たに「種苗購入助成事業」を実施し、地域振興作物等の生産拡大を推進して参ります。
農山村活性化については、農林家の所得の向上と新たな雇用の場の創出のため、6次産業化を支援する事業を創設し、地域で生産される農畜産物を生かした起業の取り組みを支援するとともに、くずまき高原牧場に整備した「くずまき高原体験交流施設」を拠点に、牧場体験等のグリーンツーリズム及び「子ども農山漁村交流プロジェクト」による教育旅行を主軸とした都市部との交流を促進し、交流人口の拡大を図って参ります。
水田営農については、平成23年度から新たに畑作物を含めた農業者戸別所得補償制度が本格実施となることから、これまでの水田農業の対策と併せて集落座談会等を開催しながら制度への加入を促進し、農家経営の安定と生産拡大の取り組みを支援して参ります。
畜産振興については、乳価は一昨年の引き上げ以来、幾分の落ち着きを見せているものの、飼料価格や農業生産資材が高止まりする中、昨年末から年始にかけての二度の雪害で牛舎や堆肥舎が倒壊するなど、畜産を取り巻く環境は益々厳しい状況にあると認識しております。
特にも昨年は宮崎県で発生した口蹄疫や、夏の猛暑による牛の廃用と乳量の減少、サルモネラ症の発生、25年ぶりとなるアカバネ病の流行など家畜防疫に対する危機感が高まった一年であり、地域一丸となった家畜防疫体制の確立が求められたところであります。
このような状況を踏まえ、関係者の役割の明確化・機能の分担、発生時の指揮命令系統・早期発見・通報の仕組みの整備と、家畜伝染病のリスクを畜産関係者のみならず町民全体が理解し、発生を水際で止める知識の普及に努めて参ります。
また、サルモネラ症の発生に備えた対策として、引き続きワクチン接種に助成するとともに、新たに互助会制度を創設し、生乳廃棄の損失を皆で助け合う仕組みづくりを行います。また、アカバネ病のワクチン接種費用についても、新たに助成して参ります。
良質な粗飼料生産に立脚した足腰の強い畜産経営を確立するための基盤強化対策として、デントコーン種子助成事業、自給粗飼料生産拡大モデル事業、削蹄費助成事業を引き続き実施するとともに、平成24年度からの国の畜産担い手育成総合整備事業による草地造成、草地改良事業の実施に向け、参加者の取りまとめを進めて参ります。
肉用牛対策では、これまでの運動の成果によって和牛繁殖牛が1千頭まで増頭したことから、今後は良質な子牛の生産に向けた支援を進めて参ります。
生産基盤の整備については、県事業の「中山間地域総合整備事業江刈地区」と「一般農道江刈中部3期地区」が継続して実施されます。一般農道については、新規採択に向け国・県に強く要望して参ります。
町事業では、農道、用排水路等の改修等の整備を行います。
林業振興については、木材価格の低迷が続き依然として厳しい状況にありますが、私は都市と山村の関係はこれまでの取引から、取組へと変えていかなくてはならないと唱えてきたところであり、本年2月に東京都港区と「間伐材を始めとした国産材の活用促進に関する協定」を締結しました。
今回の取組は、港区が健全な森林管理を行う当町を含む全国23自治体の地場産材を積極的に利用することで、二酸化炭素を吸収する健全な森林の整備を促し、林業の振興や地球温暖化防止につなげていくものであり、取組の広がりに期待しております。
また、本年4月より盛岡広域において「岩手くずまき高原カラマツ認証協議会」を立ち上げ、当町をはじめとしたカラマツ集成材等の生産履歴を明確にしてブランド化を進めるとともに、安定供給を図ることとしております。
国においても、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」いわゆる公共建築物木材利用促進法が昨年10月に施行される等、これらの動きは当町の林業振興にとって追い風となるものと考えております。
これを踏まえ、森林整備事業における町単独の嵩上げ補助を継続して林家を支援するほか、昨年末から年始にかけて2度にわたる大雨・大雪で倒木や幹折れ等の被害を受けた山林の救済について、雪解けを待ってさらに詳細な現地査等を実施しながら、県の対策等も踏まえ、改めて町としての支援策を検討して参ります。併せて、町森林組合とも連携しながら、森林保険の適用申請など林家を支援、指導して参ります。
また、子供たちを対象にした体験教育を展開する首都圏の施設に、町森林組合が中心となって林業体験用の木材を提供する取組は高く評価されており、さらに、新年度は「第43回岩手県緑の少年団大会」の当町での開催が予定されており、例年行っている植樹祭、森林の恵みフォーラムと併せ、イベント開催等を通じて森林の持つ機能、役割、魅力を広く内外に情報発信して参ります。
林業後継者対策については、2年目となる「林業担い手育成支援事業」を継続し、林業就業希望者の研修を支援し、林業後継者の育成ひいては雇用や定住支援につなげて参ります。
林道整備については、「鈴峠1号線」、「同2号線」及び「畑福線」の3路線が県代行事業で継続実施されます。また、旧緑資源機構から県に引き継がれた2路線のうち「安孫・平糠線」については垂柳地区の残区間が、「鷹ノ巣・鰻沢線」は本工事への着手が、それぞれ予定されております。
町事業では、林道の改修等の整備を行います。
治山事業については、昨年7月の大雨で崩落した田部岩瀬張地区の復旧工事を新規に行うほか、七滝地区の谷止工事及び上外川、畑及び平庭地区の保安林整備が予定されています。
商工業の振興については、引き続きイベントを中心とした中心市街地の活性化に取り組む「まちなか活性化協議会」を支援していくとともに、県と連携し国道281号の改良整備と中心市街地の再整備に向けた取り組みを更に進めて参ります。
また、町が持つ地域資源や特性を活かした「くずまきブランド」の確立を図っていくため、農林業・観光等の他産業との連携を促進して1次産品の高付加価値化に努めるとともに、新たに「ものづくり・人材育成支援事業」により、町内にある技術や新たな技術等の伝承・習得に向けた支援やそのための人材育成に対する支援・強化等に取り組んで参ります。さらに、「住宅リフォーム応援事業」を創設して建築業の活性化を図るとともに、助成金をくずまき商品券により交付することで、町内の消費拡大にも努めて参ります。
雇用対策では、高齢者・若者雇用促進奨励金の継続や国の緊急雇用創出事業を展開していくとともに、新たな雇用の創出を図るため、盛岡広域8市町村で構成する「在京盛岡広域産業人会」等と連携し、情報収集に努めながら引き続き企業誘致に取り組んで参ります。
観光振興については、県・関係団体と連携して観光情報の発信に努め、体験・滞在型観光の振興を図るため、くずまき高原牧場や農業体験交流施設、森のこだま館等の施設を活かした魅力あるメニュー・プログラムの開発に支援して参ります。
また、新エネルギーや第三セクター等で毎年多くの視察者を受け入れている状況を踏まえ、人材育成を含め、一体的な視察の受入体制を整備する事業を実施します。
定住対策については、これまでの土地取得者や若者定住者に対する奨励金に加え、本年1月に開設した空き家バンクの充実を図るとともに、空き家を提供する所有者等に対し、リフォーム費用に対する助成等を新たに行います。
また、町外からの移住者の受け入れだけではなく、町民が住みやすいまちづくりが第一の定住策であると捉え、町民の住環境向上のための住宅リフォームを支援する「住宅リフォーム応援事業」、若者を応援する「新婚ライフサポート事業」に新たに取り組んで参ります。
地籍調査事業については、地籍調査事業については、平成23年度に登記事務が終了し、事業の一切が完了する予定です。


第5は、「人と文化を育むまちづくり」についてであります。


教育の充実については、次代を担う子どもたちが夢や希望を大きく抱き、多様な可能性に向かって果敢に挑戦しながら、変化の激しいこれからの社会を生きぬく力や知恵を身に付けることが大切であると考えています。
これらは、さまざまな体験の積み重ねやよりよい学習環境によって育まれるものであり、家庭や学校、そして地域が共に手を携え、子どもたちが本来持っている資質や能力を引き出し、伸ばす教育の推進に努めます。
また、町民一人ひとりが心豊かで生きがいのある生活を送ることができるよう、さまざまな学習機会を提供するとともに、人づくり、地域づくりにつながる生涯学習に積極的に取り組んで参ります。
保育園については、開設2年目となる認定子ども園葛巻保育園を核として、小屋瀬保育園、五日市保育園、江刈保育園を分園化することにより、保育士等の人的な連携体制を確立し、就学前教育の充実を図るとともに、効率的な運営に努めます。
なお、全ての5歳児を対象として保育料を無料とすることにより、未就園児を解消して保育の充実を図るとともに、就学前に共通した基礎的しつけや知識を身に付けることで、小学校教育へのスムーズな移行を図ります。
 小・中学校教育については、引き続き地域の資源や人材を活用し、芸術・文化・スポーツ等の体験学習、郷土学習の機会を積極的に取り入れるとともに、今後、小規模校及び複式学級における教育がますます重要となることから、少人数指導によるきめ細かな教育に取り組んで参ります。
また、「地域活性化・住民生活に光をそそぐ交付金」事業を活用し、各種整備を図って参ります。
教育環境整備については、葛巻小学校において、屋内運動場の整備に続き、一般町民も利用できる屋内プールの改築工事を実施するほか、吉ケ沢小学校の校舎屋根塗装工事等の維持修繕工事、スクールバスの更新等を実施して参ります。
学校給食では、引き続き友好姉妹市町村の沖縄県北中城村との産物交換による学校給食沖縄デー、地元産物による学校給食葛巻デーに取り組んで参ります。
さらに、フッ化物洗口による虫歯予防対策、食育指導等たくましく生きるための健康づくりや体力の向上に努めます。
高等学校教育の振興については、引き続き葛巻高等学校教育振興協議会に対して補助金を交付し、生徒への通学補助をはじめ、特色ある活動等への助成により魅力ある学校づくりを支援するほか、小・中学校スクールバス等を活用した通学対策を講じて参ります。
また、引き続き地域と連携した教育活動の重要性を力強く訴え、その存続発展を支援して参ります。
生涯学習の充実については、生涯学習推進本部を中心に公民館事業と連携を図りながら、町民のライフステージや多用な学習要望に対応した学習機会の提供に努めて参ります。
また、次代を担う子ども達が豊かで健やかに育まれる環境を作るために、安心・安全な居場所を設ける「放課後子ども教室推進事業」を進めて参ります。
出前講座につきましては、町で進める施策や課題に関する情報を提供するとともに、身近な疑問を解決し豊かな生活が送れるよう進めて参ります。
本年は、「全国生涯学習ネットワークフォーラム岩手大会」開催年にあたり、当町においても「環境との共生フォーラム分科会」が予定されています。本イベントは、当町の環境に対する取組の情報発進や環境対策ブラッシュアップ事業を盛り込んだ全町的計画となっております。
青少年の健全育成については、青少年育成ネットワーク等との連携を強化して地域の教育力の向上を図り、自然体験やボランティア活動等を通して生きる力を育んで参ります。
また、友好姉妹市町村である沖縄県北中城村へ中学生の訪問研修を実施し、交流をとおして体験活動・団体活動・社会参加活動に積極的に取り組むリーダーを養成します。
生涯スポーツ・レクリエーションの推進については、町民の誰もが、生涯のそれぞれの段階にわたって、生き甲斐や健康づくりなどの目的で気軽にスポーツを楽しむことができる環境の整備に努めます。
NPO法人葛巻町体育協会及び各地区の体育振興会をはじめ、生涯スポーツと体力づくりの推進を担う体育指導委員等とのさらなる連携強化を図るとともに、町体育施設のトイレのバリアフリー化をはじめ環境の充実を図り、町民総合体育大会等の各種大会を開催します。
また、総合型地域スポーツクラブ等のスポーツ団体については、主体的、継続的にスポーツ活動を行うための組織の育成、強化を図って参ります。
文化の創造と継承については、生涯を通じて、心のゆとりや潤いにつながる文化に親しむ環境づくりを進めるため、芸術・文化団体と連携を図りながら、町民の自主的な芸術文化活動を促進する発表の場や「青少年劇場」など文化に直接触れる機会の提供に努めるほか、ドイツで開催されるガーデンショーにおいて予定されている葛巻神楽の公演に助成します。
また、今年度整備した葛巻小学校の屋内運動場を活用し、各文化団体の活動がより広く行えるよう取り組んで参ります。
俳句で文化の薫るまちづくり事業については、俳句に親しむ機会を提供して今年度10周年を迎えることから、より多くの人々が俳句に接することができるよう努めて参ります。
文化財保護活動では、文化財の調査研究やパトロールを実施し、保護管理に努めて参ります。


第6は、「交流を広げ、誇りをもって情報発信するまちづくり」についてであります。

国・県道整備については、均衡ある地域社会の形成のために広域的な連携・交流・地域振興につながる安全な道路整備を国・県に対して要望して参ります。
国道では、通常の維持修繕に加え、一部区間のオーバーレイや国道281号大坊地区の拡幅工事が予定されているほか、平成22年度の被災箇所についても23年度に復旧工事が完了する予定です。
平庭道路の整備については、「平庭トンネル早期着工・完成促進住民大会」の継続開催を含め、関係する市町村とともに早期実現に向けて引き続き要望して参ります。
町道については、豊かな生活環境の創造と地域の活性化を推進するため道路環境の整備に努め、既存路線の維持修繕とともに、新規路線として「塚の沢線」、「大沢中崎線」の整備を進めて参ります。また、冬期間の確実な通行確保のために、除雪機械1台の更新を予定しております。
砂防事業については、平成22年度に土石流が発生した「小田地区」について、23年度に復旧事業が完了する予定です。また、「市部内地区」については用地取得を推進するほか、「馬渕地区」について、引き続き測量調査が予定されています。
災害復旧については、住民の日常生活に支障がないように配慮しながら、国・県の指導のもと早期の完了を目指すとともに、今後も災害に強い町づくりを推進して参ります。
バス交通対策については、鉄道が無い当町において、広域生活バス路線は交通弱者が町外へ出向く交通手段であるほか、公共交通機関を利用して来町する方のアクセス手段でもあることから、引き続き、バス事業者、住民、各種団体等と連携した利用促進の取り組みを推進するとともに、「葛巻線」、「吉ヶ沢線」の2路線の広域生活路線については、バス事業者に対して補助金を交付し、路線の維持を図って参ります。
地域情報化については、全国的に本年7月の地上デジタル放送への移行が懸念される中、3カ年計画で整備を進めてきた地域情報通信基盤施設が完成しました。これにより、町内全域において地上デジタル放送の受信環境が整備されるとともに、高速ブロードバンド等を利用できる環境が整いました。今後は、4月から「くずまきテレビ」が開始される等、整備された基盤の有効活用のため、町民の要望を把握しながら、サービスの充実を図って参ります。
また、携帯電話不感地域の早期解消に向け、引き続き関係機関等へ働き掛け、地域情報化の更なる充実に努めて参ります。


第7は、「協働のまちづくり」についてであります。

 まちづくりへの住民参画の推進については、「自治会活動交付金」、「協働のまちづくり事業」の制度を充実し、自治会等の主体的な取り組みを支援することでコミュニティの活性化を図るとともに、町政懇談会等を開催し、引き続き情報提供、住民参画機会の拡充に努めて参ります。また「新しい公共」、「地域マネジメント」等といった新たな手法による活性化策についても検討して参ります。

以上、平成23年度の施策の概要を申し上げました。


【結びに】

昨年は、当町にとって昭和30年の3町村合併から55年となる記念の年でありました。「新たな出発(たびだち)」の年として、7月15日に記念式典を挙行したほか、NHKラジオ番組の公開録音、山ぶどうサミットinくずまき、いわての森林の感謝祭、2010いわて太鼓フェスティバルinくずまき等、各種記念行事を盛大に開催し、葛巻の魅力を内外に発信した年となりました。先人の業績に感謝を申し上げ、未来を担う子ども達の活躍を祈りながら、新たな一歩を踏み出したところであります。
また、7月に開催された岩手県消防操法大会では葛巻町消防団が優勝し、「消防団の甲子園」といわれる全国大会に4回連続出場を果たすなど、町民の素晴らしい努力が輝いた年でもありました。
今日、東北一の酪農郷に発展した我が町は、その酪農基盤を最大限生かし、「ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」というキャッチフレーズを掲げ、その取り組みは全国から高い評価をいただけるまでになりました。「ないものねだり」だけではなく、町が持っている機能だけを徹底して活用した町づくりを進めてきた結果であります。
私は、「夢しか実現するものはない」と言い続けております。「食糧・環境・エネルギー問題」に挑戦する町として、町民が「住み続けたい町」「誇りを持てる町」そして「町民が生涯現役でいられる町」を実現するために、今後とも様々な施策を展開し、「全ての町民が安心して暮らせる町」を目指し、最善を尽くして参ります。
ここにおられる議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。


平成23 年3月3日
葛巻町長 鈴 木 重 男