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平成24年度町長施政方針演述

公開日 2012年03月07日

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平成24年度葛巻町長施政方針演述(葛巻町議会3月定例会)

 本日、ここに第2回葛巻町議会定例会が開催されるに当たり、平成24年度の町政運営について所信の一端を申し上げます。
 昨年3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の大災害となり、震災による大津波により多くの人命と財産が奪われ、被災した太平洋沿岸地域はもとより日本全体に大きな傷跡を残しました。
 この大震災の影響により日本経済は依然として厳しい状況にありますが、緩やかながら持ち直す傾向にある一方で、欧州の財政金融危機を背景とした株価の低迷、円高による企業業績の悪化、雇用の減少など、景気後退への懸念が広がりつつあります。
 こうした中にあって、国・県においては、震災前にも増して、地域経済を支え、持続的に発展できる産業を目指しており、国においては「食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を昨年10月に決定し、農林漁業の再生に向けた方向が示されたところであります。
 また、県においても「食と緑の創造県いわて」の実現に向け、経営体の育成、新たな担い手確保、生産性・市場性の高い産地づくり、6次産業化による農畜産物の高付加価値化等を重点的に推進していくこととしております。
 今年は復興元年として位置づけ、国・県は、「大震災からの復興、農林漁業の再生」を両輪としております。
 こうした中、町では、東日本大震災の経験を踏まえ、今議会で提案申し上げる平成24年度当初予算においては、被災地の支援を進めながら防災対策をはじめ、生活・医療・定住・子育て支援、再生可能エネルギー導入など「安心して暮らせるまちづくり」のため新規事業を盛り込むとともに、農林業の振興・6次産業化の推進、中心市街地の活性化などに重点的に取り組む考えであります。
 これより平成24年度の「まちづくりの重点施策」、「行政改革の推進」、「予算編成」の3点について申し上げます。


【まちづくりの重点施策】

 はじめに、24年度のまちづくりの重点施策について申し上げます。
 24年度は、現行町総合計画後期計画の最終年度となることから、本計画の将来像に掲げる「地域の資源を宝に変えて 幸せを実感できる高原文化のまち」により近づくための取り組みに努めるとともに、次期葛巻町総合計画については、町が持つ多面的な資源を活かし、山村のモデルとなる個性的な地域づくりを推進して参ります。
 併せて、町民が抱える不安を一つひとつ解消することで、安心して暮らせる環境を整え「住み続けたいまち」を実現するための基本方策として位置づけ、多くの町民の皆様のご意見をいただきながら計画策定を進めて参りたいと考えております。
 今年度は、各分野において「安心して暮らせるまちづくり」を主眼にハード・ソフトのバランスを取りながら推進して参ります。
 町民の「安全・安心なまち」実現に向けては、防災拠点となる小・中学校の太陽光発電施設整備、携帯電話不感地域の解消、町内バス路線の運行本数拡大などを進めます。
 基幹産業の振興に向けては、粗飼料自給率向上、搾乳牛増頭、優良後継牛確保、肉用牛改良、農畜産物加工ブランド化などにより足腰の強い畜産経営の確立を目指します。
 中心市街地活性化については、まちなか活性化協議会活動支援、街路灯のLED化、中心市街地再整備の具現化に向けて取り組んで参ります。
 定住促進については、定住者奨励金交付、新婚ライフサポート金支給、定住化促進住宅整備などに取り組んで参ります。
 子育て支援については、医療費助成の拡大、予防接種費用助成、発達障がい児対策などに取り組んで参ります。
 震災復興支援につては、町の災害復興基金を活用して、被災市町村への職員派遣、被災地生徒等受入支援、被災地支援団体の活動支援などを実施して参ります。
 また、繰越事業として、災害に強い情報通信基盤施設の構築、災害復旧対策、葛巻小学校屋内プール整備、くずまき交流館プラトー浴室増築などを進めて参ります。


【行政改革の推進】

 次に行政改革の推進について申し上げます。
 平成17年度に策定した「第4次行政改革大綱」では、人件費や公債費などの義務的経費の削減、公共事業の重点化による普通建設事業費などの投資的経費の削減、経費の見直しによる内部管理経費の削減など、町財政の健全化に大きな効果を上げることができました。
 平成22年度に策定した「第5次行政改革大綱」では、葛巻町総合計画の目指すまちづくりを実現するため、第4次大綱の理念を継承し「町民との協働によるまちづくりの推進」、「変革の時代に対応する効率的な行政基盤の確立」、「自立可能な財政構造の構築」を基本方針に、継続的な行政改革に努めて参ります。
 こうしたことを踏まえ、複雑・多様化する行政課題に対し、よりスピーディーで組織横断的な事業推進を図るため、町の機構の一部を見直し特定施策の円滑な解決に努めます。
 また、職員の資質向上を目的とした県への職員派遣研修も継続して参ります。


【予算編成】

 次に、平成24年度予算編成について申し上げます。
 予算編成に当たっては、財政運営の健全化を推進するため、引き続き経常経費の抑制に努めるとともに、限られた財源の重点的、効果的な活用に努め、歳入に見合った規模の予算とすることを基本に編成作業を進めたところであります。
 一般会計当初予算については、総額を48億4百76万円と定めました。前年度を7千4百62万円上まわる規模となっております。
 さらに、平成23年度からの繰越事業として、災害復旧事業で4億2千万円、当初計上分の普通建設事業で1億6千万円、国の3次補正に伴う補助事業で4億5千万円の事業費を見込んでいるところであり、24年度の執行額ベースでは58億円規模となるものであります。
 以下、本予算案における主な特徴を申し上げます。
 まず、歳入ですが、町税は、ほぼ前年度並みの4億7千万円を見込んでおります。
 地方交付税は、30億1千万円とし、国の地方財政計画における基本方針を踏まえ、前年度より4千万円減額しております。
 町債は、総額3億5千万円を計上しました。このうち臨時財政対策債については、国の地方財政計画を踏まえ4千万円減額し、1億4千万円としたところです。
 次に歳出ですが、これまでの行政改革の効果により、公債費が5千5百万円減の8億円となっております。
 投資的経費は、災害復旧事業費や公共施設再生可能エネルギー等導入事業費などにより、前年度を3割上まわる5億2千万円程としております。
 主な歳入、歳出については、以上のような状況ですが、事業の重点化、経費の効率化に努め、財政調整基金等からの取り崩しを行っていないところです。
 特別会計については、5特別会計の総額で約6千7百万円、2.7%減の23億9千万円程となっております。
 各会計とも多くの課題を抱えており、引き続き一般会計からの繰入れ措置を行うなど安定的な運営の確保に努めたところです。
 次に、総合計画の体系ごとに施策の概要について申し上げます。


第1は「健康で快適に暮らせるまちづくり」についてでございます。

 健康づくりの推進については、子どもから高齢者まで、こころと体の健康を保ち、生涯住み慣れた地域で暮らすことができる地域社会を実現するため、各種予防事業を推進するとともに、健康づくりに対する意識の高揚を図りながら「健康くずまき21プラン」に代わる新たな健康プランを策定いたします。
 「健康運動指導士」の資格を保健師に取得させ、特定保健指導や各健康教室などで年齢や症状にあったきめ細かな運動指導ができるよう取り組んで参ります。
 また、町内8カ所で「生活習慣病予防検診結果説明会」を開催し、早期再受診の直接勧奨と健康づくりに関する普及啓発を図って参ります。
 こころの健康については「うつスクリーニング事業」を実施し、こころの病気に関するハイリスク者を早期に発見し、戸別訪問や精神保健相談を行い、うつ予防とこころの健康に関する普及啓発を図るともに、関係団体と行政機関の連携を強化して自殺予防に努めて参ります。
 医療費助成については、医療費無料化を中学生まで拡大するとともに、おたふく・みずぼうそう接種費用へのくずまき高原商品券による一部助成、子宮頸がん予防ワクチン接種を高校3年生まで拡大するほか、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を継続し、ウイルス感染による疾病予防に努めて参ります。
 病院経営については、葛巻病院は町民の生命と健康を守るうえで拠点となる施設であることから、国・県など関係機関から支援を受けながら診療体制の充実に努め、町民から信頼される安全な医療の確保と経営健全化に努めて参ります。
 病院の新築については、築40年を経過し、老朽化が進む病院施設の改築に向けて整備計画の策定に着手して参ります。
 国民健康保険については、健康でだれもが安心して医療を受けられる国民皆保険制度を維持するため、引き続き国保財政自立対策費として一般会計からの繰入を行うとともに、国保税の収納率の向上に努めて参ります。
 地域福祉については、「共に支え合う福祉のまちづくり」の理念に基づき、関係団体と連携し、平時の見守りネットワーク活動や災害時の避難支援など、高齢者や障がい者を地域で支える体制を構築して参ります。
 高齢者福祉については、高齢者の社会参加と生きがいづくり、健康づくりと介護予防、自立と安心のためのサービス充実など、高齢者が安心して暮らすことができるよう、生活管理指導員による一時的生活支援や在宅福祉サービスなどの充実を図って参ります。
 介護保険事業については、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるため、地域包括支援センターの果たす役割がますます重要となってきており、医療ニーズの高い高齢者、重度の要介護者に対応するため、保健・医療・福祉が連携した総合的な支援体制、地域での支え合いや見守り体制の充実に努めて参ります。
 障がい者福祉については、障がいのある人もない人も共に幸せを実感し、安心して暮らせる町を目指し、障がい者の権利擁護や福祉サービスの充実を図るとともに、障がいを持っていても地域で暮らし続けることができる環境づくりを進めて参ります。
 子育て支援については、安心して生み育てられる環境づくりに努め、継続した子育て相談・子育て支援が受けられるよう、保健・福祉・教育の連携を強化します。また、発達が気になる子どもの相談体制の充実を図るため、発達障がい児療育事業を実施して参ります。
 木造住宅の耐震化の推進については、安全な住宅で安心して生活できるよう耐震化の必要性を啓発し、耐震診断士派遣事業による簡易耐震診断実施率の向上に努めるとともに、診断後における耐震改修工事助成も継続実施いたします。
 水道事業については、安全で安心な飲料水の供給に努めるとともに、江刈簡易水道統合整備事業の基本設計業務等を進め、補助事業選択に向けた手続きを進めて参ります。
 下水道事業については、農業集落排水施設と町整備型浄化槽の普及率向上に一層努めるとともに、高齢者世帯等水洗化普及支援事業を継続し、要支援世帯の生活環境改善に努めて参ります。



第2は「地域で支え合うまちづくり」についてでございます。

 防災については、地域の防災拠点となる小・中学校への太陽光発電設備を順次整備し、緊急時の避難所としての機能強化を図り、また、災害発生時等緊急時の食糧備蓄などを進めて参ります。
 消防については、国の補助事業を活用した消防団員の安全を確保するための装備の拡充を図るとともに消防団員の教育訓練を充実し、若い世代の積極的な加入促進に取り組み、消防団活動の充実強化に努めて参ります。
 また、婦人消防協力隊・幼年少年消防クラブ、各地区の自主防災組織の育成指導を行い、地域ぐるみの消防防災体制の確立を図って参ります。
 消防・防災施設の整備については、多様化する各種災害に対して迅速かつ的確に対応するため、第17分団消防ポンプ自動車と第9分団小型動力ポンプ積載車の更新など引き続き消防施設の整備に努めて参ります。
 防犯・交通安全については、交通指導隊を中心に高齢者への交通指導、子どもたちへの交通安全教育など交通事故防止の啓発活動を行うとともに、防犯指導隊、防犯協会など関係団体と連携し、地域が一体となって安全で安心なまちづくりのための防犯活動を進めて参ります。
 また、24年度で町内全防犯灯のLED化を完了いたします。



第3は「環境を守り育てるまちづくり」についてでございます。

 一般廃棄物処理については、分別収集による減量化・再資源化取り組みを一層進めなければならない現状にあることから、24年度はごみ分別収集品目の細分化を行い、新たに「生ごみ」、「プラスチック製容器包装」、「古紙類に含まれる紙製容器包装」などを追加し、より一層ごみの減量化・再資源化を推進して参ります。
 なお「生ごみ」については、田子~四日市地区を対象として分別収集を行い、畜ふんバイオガスプラントで資源として活用して参ります。
 環境保全・自然保護については、主要河川の水質検査や環境パトロール等を継続し、水質の保全、廃棄物の不法投棄撲滅のために取り組んで参ります。
 また、先人から受け継いだ豊かな自然をかけがいのない財産として守り育て、次世代に引き継ぐため、住民への意識啓発と自然保護の意義を広く周知し、自然環境の保全・管理に努めて参ります。
 地域エネルギーの活用については、本町はこれまで風力発電、太陽光発電、バイオマスエネルギー発電など様々な再生可能エネルギーの導入を積極的に推進して参りました。
 このメリットを町民がさらに実感できるよう、町内の避難所に指定されている小・中学校等の公共施設に再生可能エネルギー施設を整備して参ります。従来町民を対象とした新エネルギー設備導入助成に「企業連携分」を追加するとともに「エコ活動」など環境に配慮した取り組みに対する助成の拡大を図り、災害に強い「安心なまちづくり」を推進して参ります。



第4は「資源を生かした産業を推進するまちづくり」についてでございます。

 農業全般については、国において昨年10月に「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針」が示され、これを受け町では、地域の実情にあったマスタープランの策定を進めて参ります。
 また、昨年から畑作物にも対象を拡大して本格実施されている農業者戸別所得補償制度については、集落座談会等を開催しながら制度への加入を促進し、農家の経営安定化と生産拡大対策に取り組んで参ります。
 さらに、地域で生産される農畜産物を生かした6次産業化の取り組みを引き続き支援し、農林家所得の向上と新たな雇用の場の創出に努めるとともに「子ども農山漁村交流プロジェクト」による教育旅行を主軸とした都市部との交流を積極的に推進するため、受け入れ施設となるくずまき高原牧場プラトーの浴室を増築し、交流人口の拡大に努めて参ります。
 農業後継者対策については、推進団体の活動費に対する助成を継続するほか、農業委員会など関係機関と連携し、農業後継者の確保対策に取り組んで参ります。
 園芸振興については、多様化する消費者需要への対策として、新規作目の導入に取り組み、消費者に期待される産地形成を図るため「いわて未来農業確立総合支援事業」、「葛巻型農業構築支援事業」を引き続き実施し、地域振興作物の生産拡大に取り組んで参ります。
 耕作放棄地については、国の再生利用交付金等を活用し、遊休農地に「なたね」の作付けを引き続き奨励して、菜種油の生産・販売と廃油をBDF(バイオディーゼル燃料)として活用する資源循環型社会構築に向けて取り組んで参ります。
 畜産振興については、飼料の高騰や口蹄疫の発生、原子力発電所事故の影響などから、ここ数年厳しい状況が続く中、外国との貿易協定の行方によっては、ますます厳しい状況が続くものと認識しております。
 24年度は、本町に乳牛が導入されてから120年という記念すべき年を迎えることから、岩手県畜産共進会ホルスタイン種の部をくずまき高原牧場に誘致するほか、各種記念事業を開催し、今後の酪農振興に弾みをつけたいと考えております。
 畜産生産基盤対策では、良質な粗飼料生産に立脚した足腰の強い畜産経営を確立するため、いわて未来農業総合確立支援事業(県単独事業)や草地畜産基盤整備事業(交付金事業)により、草地造成や草地改良整備を進めるとともに、引き続き自給粗飼料生産拡大モデル事業を実施して参ります。
 乳用牛対策では、乳質改善対策事業、搾乳牛の減少に対応するための乳用牛(初任牛)導入事業を引き続き実施するとともに、雌雄判別精液による優良後継牛確保対策事業を新たに実施いたします。
 肉用牛対策については、繁殖雌牛1,000頭を達成したことから、次の段階として黒毛和種繁殖雌牛改良対策事業を実施して繁殖雌牛の更新を図って参ります。
 生産基盤の整備については、県営事業の「中山間地域総合整備事業江刈地区」と「一般農道江刈中部3期地区」を継続実施するほか、一般農道は新規採択に向け国・県に強く要望して参ります。
 また、農作物の生産や育林等に支障がなく安全に通行できるよう農道、林道の維持修繕に努めて参ります。
 林業振興については、森林整備事業への町単独の嵩上げ補助を継続し、併せて昨年の大雪による倒木等について、町単独で幹線作業道等の倒木処理事業を継続するとともに、町森林組合と連携し、森林整備事業等により雪害木処理が促進されるよう、森林所有者に働きかけて参ります。
 また、町森林組合が中心となって実施している、首都圏の子どもたちを対象とした体験教育施設に林業体験用の木材を提供する取り組みが高く評価されていることから、継続的な支援により都市との交流を促進し、森林の持つ機能・役割・魅力を広く内外に情報発信して参ります。
 林業後継者対策については「林業担い手育成支援事業」を継続することで林業就業希望者の研修制度を支援し、林業後継者の育成さらには雇用や定住支援対策につなげて参ります。
 林道整備については「鈴峠1号線、2号線、畑福線」の3路線が継続実施されます。また、旧緑資源機構から県に引き継がれた2路線のうち「安孫・平糠線」については垂柳地区の残区間が「鷹ノ巣・鰻沢線」は本工事の着工がそれぞれ予定されております。
 治山事業については、新規に、星野地区・小田地区の治山ダム工事と上名前端地区のなだれ防止工事が予定されているほか、七滝地区・古川戸地区の治山ダム工事、上外川地区・畑地区・平庭地区の保安林整備が継続実施されます。
 商工業の振興については、引き続き中心市街地の活性化に取り組む「まちなか活性化協議会」の活動を支援するほか、街路灯のLED化、中心市街地の再整備事業の具現化に向けた取り組みを進めて参ります。
 また、町が持つ地域資源や特性を活かした「くずまきブランド」を確立するための人材育成、住宅リフォーム応援奨励金、高齢者・若者雇用促進奨励金制度を継続し、雇用の創出と消費拡大に努めて参ります。
 さらに、新たな雇用創出を図るため、岩手県産業再生復興推進計画や盛岡広域8市町村で構成する「在京盛岡広域産業人会」などと連携し、情報収集に努めながら引き続き企業誘致等に取り組んで参ります。
 観光振興については、4月から開催される「いわてデスティネーションキャンペーン」、盛岡・八幡平広域観光圏整備事業などと連携を図っていくほか、被災地支援を盛り込んだ町独自の観光・物産PRイベントの実施や物産等販売促進活動支援事業、町内に簡易観光案内所を設置するなどの取り組みによって誘客の増加を目指します。
 定住対策については、土地取得者・若者定住者に対する奨励金、空家リフォーム助成金、新婚ライフサポート金支給事業などを継続するほか、新たに若者定住のための住宅を3棟整備して参ります。



第5は「人と文化を育むまちづくり」についてでございます。

 就学前教育については、地域の人材・歴史・伝統・風土を活かした教育・保育課程による独自の幼保一体型保育の実施、子育て支援センター事業の充実により、家庭と連携した就学前教育の質を高め、小学校へのスムーズな移行を進めます。また、5歳児を対象とした保育料の無料化も継続して参ります。
 小・中学校教育については、引き続き地域の資源・人材を活用した体験型学習、郷土学習を積極的に取り入れるとともに、小規模校や複式学級における少人数指導によるきめ細かな教育を推進し、学力の向上に努めて参ります。
 また、児童生徒の遠距離通学扶助費と準要保護修学援助費の拡充、特別支援教育支援員の増員を図ります。
 国の交付金等の関係から遅れておりました葛巻小学校屋内プール整備工事に着手するほか、町内の全小・中学生を対象にした朗読会、フッ化物洗口、食育指導等にも先進的に取り組んで参ります。
 高等学校教育の振興については、葛巻高等学校教育振興協議会に対する補助金交付を継続し、魅力ある学校づくりの支援、生徒の遠距離通学対策を講じ、葛巻高等学校の存続発展のため更に力強く取り組んで参ります。
 生涯学習については、町民生活が多様化する中で、心の豊かさや生きがいづくり、知的好奇心に応えるため、生涯学習推進本部を中心に公民館事業と連携して学習環境の整備に努めて参ります。
 また、地域の防災拠点ともなる地域コミュニティーセンターに太陽光発電・蓄電池を整備したことを踏まえ、これらの活用により広く環境学習にも取り組んで参ります。
 さらに、次代を担う子どもたちが豊かで健やかに育まれる環境をつくるため、安心・安全な居場所を設ける「放課後子ども教室推進事業」を継続していくほか、平成25年度から5年間を展望し、新しい生涯学習のあり方や仕組みづくりのため、第7次生涯学習推進計画を策定いたします。
 青少年の健全育成については、青少年育成ネットワーク等と連携を強化し、地域の教育力を活かし家庭教育と地域教育の基盤を強化しなければなりません。沖縄県北中城村との中学生交流活動やジュニアリーダー研修、ミニサッカー大会やユニホック交流大会の開催を支援し、青少年の心に響く事業を展開して参ります。
 生涯スポーツ・レクリエーションについては、町民だれもが、生涯のそれぞれの段階にわたって健康と生きがいづくりのために「いつでも、どこでも、気軽に」スポーツ活動に親しむことができる環境の整備に努めます。NPO法人葛巻町体育協会、町内6地区の体育振興会やスポーツ少年団等の活動を助長するとともに、スポーツ推進委員等との連携を強化するほか、施設整備面では、社会体育館の耐震化診断を実施いたします。
 文化の創造と継承については、地域に根ざした活動を続ける郷土芸能保存団体を支援するため、担い手確保支援、発表機会の拡大、記録保存や団体の連携強化を図って参ります。
 また、青少年劇場やクラッシック音楽の公演により優れた芸術にふれあう機会をつくるとともに、生涯学習フェスティバルや地区文化祭の開催による日常の身近な文化活動を助長して参ります。



第6は「交流を広げ、誇りをもって情報発信するまちづくり」についてでございます。

 国道・県道の整備については、均衡ある地域社会の形成のため、広域的な連携・交流・地域振興につながる安全な道路整備を国・県に対して要望して参ります。
 国道では、通常の維持修繕をはじめ一部区間のオーバーレイや国道281号線大坊峠地区の拡幅工事が引き続き予定されています。
 平庭の道路整備については「平庭トンネル早期着工・完成促進住民大会」の継続開催を含め関係する市町村とともに、早期実現に向けて引き続き要望して参ります。
 県管理の河川整備については、2年連続の豪雨災害の被災箇所について、町民が安心して生活できるよう復旧工事が順次進められる予定となっております。
 砂防事業については、小田地区が平成23年度内に事業完了する予定であり、市部内地区は用地取得、馬渕地区と平船地区は、引き続き測量調査が行われる予定となっております。
 町道については、豊かな生活環境の創造と地域の活性化、安全安心を確保するため、道路環境の整備に努め、既存路線の維持管理とともに新たに渋谷地東線・大城線の整備を進めて参ります。また、宝積寺線の道路消雪設備の概略設計や八幡下から茶屋場間の馬淵川堤防の1.5車線化の調査設計に着手いたします。
 災害復旧については、住民の日常生活に支障が生じないよう配慮し、国・県の指導のもと早期完了を目指すとともに、今後も災害に強いまちづくりを進めて参ります。
 バス交通対策については、葛巻線、吉ケ沢線2路線の広域生活路線維持のほか、24年度は江刈線・田部線の増便を図り、利便性の向上に努めて参ります。
 地域情報化については、補助事業を活用し、災害に強い地域情報通信基盤施設の構築を図って参ります。
 また、くずまきテレビの運営体制の強化を図り、放送内容の努めて参ります。
 さらに、携帯電話不感地域のほぼ全域の解消については、通信事業者が行う簡易基地局の設置を支援し、不感地域の解消を図って参ります。



第7は[協働のまちづくり]についてでございます。

 まちづくりへの住民参画の推進については、引き続き「自治会活動交付金」、「協働のまちづくり事業」制度を充実させ、自治会活動を支援して参ります。また、昨年の東日本大震災以降、地域コミュニティーの役割、重要性が再認識されており、その充実・強化を図る取り組みを進め「新しい公共」、「地域マネジメント」など新たな手法による活性化策も検討して参ります。

 以上、平成24年度の施策の概要を申し上げました。

 【結びに】

 昨年は、新年早々から記録的な大雪の影響で波乱のスターとなりました。3月には東日本大震災が発生し、停電や燃料不足などにより町民の安全・安心が脅かされ、さらには9月の台風15号による豪雨で河川が氾濫するなど安全・防災対策などを総合的に見直す一年となりました。
 その一方で、町の最重要課題であった「地域情報通信基盤施設」が完成し、4月から本格運用をスタートさせ、自主放送チャンネルの「くずまきテレビ」では「くずまきトピックス」により町内の各種情報、行政情報等を町民の皆様に提供できるようになりました。
 東北一の酪農郷に発展した我が町は、その酪農基盤を最大限に活かし「ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」をキャッチフレーズに掲げ、町が持っている機能を徹底して活用したまちづくりを進めてきました。そのことが高く評価され、過疎地域自立活性化優良事例表彰の最高位賞である総務大臣賞を受賞することができたほか、葛巻高等学校生徒による葛巻神楽のドイツ公演など町民が一体となって輝いた一年でもありました。
 私は、町民の皆様が日々の生活で感じているさまざまな「不安」を一つひとつ解消していくことが、本当の意味での「豊かさ」や「幸せ」につながっていくものと考えております。
 これらの「不安」を一つでも多く解消し、町民の皆様が安心して暮らせるまちづくりを推進することが、町政において最も優先的に取り組むべき課題であると考えております。
 平成24年度まちづくりのための予算編成におきましては、町民の皆様が「安心して暮らせるまちづくり」のため意を配しております。議員各位そして町民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、私の施政方針演述といたします。

 平成24年3月7日

                   葛巻町長 鈴木 重男
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